NetBSD/x68k

1986年彗星の如く現れそしてひっそりと去っていったかに思われた SHARP x68000シリーズ。しかし今でも最新のOSが動くという。それがNetBSD/x68kだ。

x68000シリーズとは

SHARP x68000シリーズは1986年に発表されたパソコン。当時の国産パソコンでは唯一と言ってよいモトローラ68000シリーズをCPUとして採用し, 特にゲームを動かすための強力なスプライトや最大65536色表示, 画面合成機能など特徴的な機能を持ち, 多くのゲームが発売された。また, アマチュアプログラマによる多くの国産フリーウェアが登場したことも見逃せない。さらにはメーカーの手を離れてユーザの手によって独自のアクセラレータや周辺ハードウェアが開発されたことも忘れてはならない。
1993年には32bitの68EC030/25MHzを搭載したx68030シリーズが発表される。そしてこれがx68000シリーズの最後の機種となる。

NetBSD/x68kって?

NetBSD/x68kは数あるNetBSDのポート(移植先)の中で初めて日本独自アーキテクチャのマシンに移植されたものだ。その歴史は古く, 最初の公開はNetBSD 0.9を移植したものだった。NetBSD1.2では待望の本家ソースツリーへのマージを果たす。もちろん歴代ポート管理者は日本人だ。
他のMC680x0用NetBSDと同じくNetBSD/m68kファミリの一つで, NetBSD/mac68kやNetBSD/sun3などとバイナリ互換性を持っている。動作対象ハードウェアは, 市販された標準構成で動作可能な機種は実は存在しない。 最低でもx68030のCPUをMMU付きの68030に載せ換える必要がある。 また, 040turboや060turbo等の各種アクセラレータにも対応する。 サポートインタフェースは内蔵のSCSIやシリアル, コンソールフレームバッファに加え, 「ユーザーが開発し回路図で配布されデファクトスタンダードになった」Neptune-XというNE2000アダプタもサポートされている。 もちろんNetBSDの持つ数々の特徴はそのまま当てはまり, 例えば内蔵するKAMEスタックにより「次世代インターネット」IPv6も標準で使用することができる。

とあるx68030ユーザの独り言

NetBSD/x68kとの出会いは1994年くらいのことだったかな。当時開発中のNetBSD/x68k 0.9をNifty ServeでMO回覧募ってたんで入手したんです。当時インストーラなんてシャレたもの無くって, 3.5inch MO(128MByte)から直接bootするんです。それはもう, 当時としても涙が出るような速度でしたよ。既にAT互換機は486/66MHzや100MHzが出てきていましたから。でもね, 当時最も愛着を持っていた機械で憧れの本物のBSDが動くんですよ。 MC68030/25MHzと言えば学生時代使っていたSONY NEWS 1720と一緒じゃないですか。 そりゃもう, 大喜びでしたよ。
でも唯一違ったのが私のx68kにはネットワークインタフェースが無かったこと。だから長いことRS-232Cを使ってSLIPでAT互換機と繋げたんです。でももう大丈夫。ごく最近, 友人が私のためにNeptune-Xを作ってくれたんです。既に存在しないx68k用ユニバーサル基板まで作ってくれて。感激です。感謝です。 これでいつまでもこのマシンが動く限り使い続けていくことができそうです。
ところで, 私のx68030はcompactモデルなんです。だから040turboとかは使えないんですが, そんなことより, 内蔵の3.5インチFDドライブが壊れかけているんです。オートイジェクト機構付きでもちろん専用なんですよ。もしもどこかでちゃんと動くx68k用の3.5inchFDDを見かけたらそっと私に教えてください。
 

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